PROJECT 73 Blog

自称FBIの装備に詳しい人のLEリエナクター向けブログ

【解説】FBIの特殊部隊 Part.2

※ 内容は公的情報や画像資料等を参考にしていますが、全てが正しいとは限りません。参考程度にご覧頂ければ幸いです。



【FBI HRT (Hostage Rescue Team)】

HRTは人質救出部隊の略で、陸軍特殊部隊デルタを参考に対テロ専門の特殊部隊として1983年に新たに創設されました。


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(四つ目ことBNVSやサプレッサー等も使用している)



『Servare Vitas (命を救うために)』をモットーに、SWATよりも困難な特殊作戦などの任務にあたります。
壊れた鎖を運ぶ鷲が描かれた部隊章は、鎖が人質を意味し、HRTが人質事件の連鎖を断ち、人々の命を救うというモチーフです。



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(Servare Vitasの書かれたHRTパッチ)



元からあったSWATの職種の一種という訳でなく、同じFBIの特殊部隊でも、SWATとは役割も技術も指揮系統も完全に異なる『全く別の部隊』となっています。

同じ機関に2つの特殊部隊が存在すること自体、米国内の他の法執行機関では見られず、文字通りの “特殊部隊” と言えるでしょう。


創設にはデルタだけでなくDEVGRU(旧チーム6)等の米国トップレベルの特殊部隊も関わっており、これらの部隊とは共同トレーニングはもちろん、9.11後に米軍が中東へ展開していた頃は軍事作戦にも加わっていました。

このようなことからも他の警察系特殊部隊とは一線を画する存在であり、少なくとも米国内で『2番手』と言えるような部隊とも大差をつけて高い技術を持つ、最も優れた法執行機関特殊部隊です。



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公式に挙げられている主な任務は以下の通り。


・船、航空機および大型車両の強襲
・テロリストの作戦や攻撃を素早く鎮静化する
・犯罪者や逃亡者の追跡及び逮捕
・密かに建物に侵入し、人質を救出する
・海外や各種イベントでFBIや米国政府を保護する
・ヘリコプターからのラペリングによる突入


人質救出部隊という部隊名ですが、実際のところ人質救助だけが仕事ではありません。必要とあれば、危険を「基から断つ」ため国外での作戦にも従事します。
(アフガニスタンイラクでの活動以降、国外での任務は過剰とする意見から、近年は国内事案が基本)


とはいえ、やはり最大にして最強のHRTだからこそできる技術は他でもなく『人質救出』にあります。

FBI SWATをはじめ、各地地元警察のSWATの戦術は、防弾盾等を使用し、時間をかける周到な突入を中心とします。こうした戦術は危険度の高い活動には有効ですが、人名が危機にさらされている場合には十分でない場合があります。

もちろん人質救出の技術を身につけようと訓練するLE特殊部隊もいますが、実際にはその大多数でとうてい無理な業務と認識されており、これはSWATらの技術が低いのではなく、それほどに人質救出が困難を極める技術なのです。


そして、彼らはあくまで兵士でなく法執行官です。銃を手に人質をとった悪人が待ち構える部屋に突入を行う際、フラッシュバンを投げ、突入したあと、それでもその容疑者を撃たないという判断が瞬時に下せる能力も求められるです。



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このような高度な技術が求められるだけあって、その選抜課程は米国屈指の苦痛のフルコース体験として有名です。

応募は男女問わず3年以上現場経験があり、業績も優秀なFBI捜査官なら誰でも可能で、純粋に能力で選考されます。
2006年以降は戦術採用プログラム(TRP)により、現職捜査官でなくても軍または法執行機関での戦術実績があれば応募できるようになりました。(TRPでHRT選抜に合格した場合、その資格取得は2年後になる)


試験は年に一度2週間かけて行われており、悪名高い米海軍SEALsの選抜課程BUD/Sに比べればずいぶん短期間ですが、そのぶん凝縮されており、初日の朝食前には多数の脱落者が出るほどと言われています。


過酷な選抜を突破し、2割に満たない生き残りの一人になれたとしても、さらにセレクションがあり、本当に一握りしかHRTに入る資格は与えられません。

また、HRT資格を取得後もNOTSと呼ばれる1年に及ぶ新戦闘員訓練があり、ここでも高水準の得点を取り続けなければ追い出されてしまいます。NOTSが終わるまでは先輩隊員らにも認めてもらうこともできず、HRTになるというのは一般的な警察特殊部隊になることとは一線を画するのです。



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過酷な試験を突破したHRT隊員は、各地方局ごとに部隊が分散しているSWATとは違い、HRTは重大事件対応群(CIRG)の指揮下にあり、普段はバージニア州クワンティコにあるFBI屈指の大規模訓練施設で約100名ほどが在籍しています。
その代わり、出動要請があれば米国全土4時間以内に展開できるよう常に有事に備えています。
(休暇中にも “1時間後に集合” など、急に呼び出されることもある)


また、パートタイム制のSWATと違い、連邦法執行機関としては唯一のフルタイム制になっており、基本的な実働部隊である3つのチームで運用/訓練/支援を60日ごとにローテーションしています。
加えて実働チームをサポートする専門技能を持つチームもあります。



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それぞれのチームは動物をモチーフにしたチーム章を身に着けており、コールサインも各チームの頭文字からとっています。



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Gold:シュモクザメ
Blue:羽
Red:ヒヒ
TMT:歯車とサイ (Tactical Mobility Team)
K9:犬の牙と爪
THU:部隊章とほぼ同柄 (Tactical Helicopter Unit)


過去の国外派遣時には「FB」や「C」といったコールサインも使われていました。
FBについては陸軍特殊部隊との区別のためにFBIの頭2文字をとったもの、Cはチャリーチームを表していると考えられますが、使用されていたのはアフガンのみです。

このほか「BD」といったコールサイン等も一部確認されていますが、基本は上の画像の通りです。


このほか、HRTは創設に携わったデルタとの関わりに注目されがちですが、創設初期の隊員はDEVGRU等の特殊部隊から引き抜かれたメンバーで構成されていたため、パッチのデザインや形状はデルタよりもDEVGRUの影響を強く受けています。



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各チームの話に戻すと、Gold/Blue/Redはローテーションの実働部隊で、Goldはその中でもマリタイム(海事任務)技術が他のチームより強化されたHRTの最精鋭チームです。能力ある隊員はGoldチームへ異動することもあります。



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訓練中の事故により亡くなったSteve Shaw氏もGoldチームの隊員でしたが、元々はBlueチームにいました。



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また、各チームはその中でさらに複数の班(正確な数は不明ですが、アルファやブラボーといったフォネティックコード呼称)に分かれており、襲撃班と狙撃班で構成されています。


Blueチームは2015年のNY脱獄事件のマンハントに出動したことで知られています。Goldはシュモクザメのモチーフが使われ、海事任務も得意としていましたが、この特性とモチーフ自体に今のところ関連性見られないため、羽のモチーフだからといって航空任務に特化しているという訳ではないようです。
(UH-60Mヘリコプターも各チーム一基ずつ配備されている)



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Redは今のところ国内で目立った出動はありませんが、実働チームの1つです。特に海外派遣の多いチームで、その派遣は部隊単位ではなく、狙撃や偵察、EOD、交渉等の技術支援要員として個人単位で特殊作戦部隊に加わっているようです。

当初のHRTはGoldとBlueの2チーム編成でしたが、隊員の増加やチームの負担軽減等の様々な理由から2000年以降に追加されたと考えられます。



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公式の情報や文献の資料もほぼ0ですが、基本的にはBlue同様の扱いと思います。



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Redチームは襲撃班よりも狙撃班の資料のほうが目立っています。(これは単なる偶然)
左の画像にある雷と斧をクロスさせた意匠はスナイパーを示すものです。またパッチの形状からRedチームであることがわかります。
続いて右の画像では同じ形状にRedチームのモチーフであるヒヒの頭蓋骨が描かれていますが、よく見ると裏には薄く左と同様の意匠があり、画像が狙撃班のものであるのがわかります。

憶測の域を出ませんが、偶然にしては狙撃班の資料があまりに多いので、もしかすると狙撃技術が多少なりとも強化されたチームなのかもしれません。


2000年以前はHRTの存在やとりわけスナイパーは重要とされていませんでしたが、CIRGの設立やFBI内部の大幅な改革に貢献したフリー長官はそう考えておらず、重要な役割のひとつとして狙撃手の増員を行いました。
その後9.11やアフガン派遣を経験したHRTで、新チーム増設にあたり狙撃技術を重視したチームができても不思議ではありません。

とはいえパッチから考えられる憶測に過ぎないので今後の情報に期待です。

ちなみにRedが狙撃特化かはさておき、各チームの狙撃班や後述の特技チームのメンバーは、前提として襲撃班同様のスキルを持つため、その専門性が必要ない場面では襲撃班同様に行動します。
なので、狙撃手だからといって常にスナイパーライフルを携行する訳ではありません。



続いて、実働チームをサポートするのがTMT/K9/THUといった、より専門的な技術を持つチームです。
これらの隊員は実働部隊員より専門的な技術を持ちますが、もちろん一人のHRT隊員として実働チーム同様のスキルがあります。


Tactical Mobility TeamはHRTが所有する様々な乗り物を使って実働チームをサポートし、各種SUVポラリスMRZR4バギー等の車輌だけでなく、ボートやヘリも乗りこなす操縦のプロです。乗り物にちなんだサイと歯車のモチーフです。
(Mobilityとだけ呼ばれることもあります)

現場到着後は襲撃班と一緒に行動するため、戦闘チームの1つとしても運用されています。



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また、地方局SWATにはない特殊車輌等も持っていることから、TMTは実働チームだけでなくSWATもサポートします。



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上画像はワシントン支局のMedic(SWAT)の訓練、サンファン支局SWATのハリケーン災害支援をサポートした際の画像です。


K9チームは、SWATのK9チーム同様に警察犬とそのハンドラーたちで構成されており、十数名の実働チーム隊員に対して一人か二人程度が同行します。



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SWATのK9はMedic同様にRG装備の簡素な装備を使用していることが多く、現場での戦闘への参加をあまり想定していないようですが、HRTのK9は他の隊員同様にフル装備で行動し、一人の戦闘員としてみなされているのがわかります。



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Tactical Helicopter Unitは名前通りのヘリコプター専門チームです。
TMT隊員にもヘリコプターを操縦できる隊員がいますが、こちらは更に高度な操縦技術を持つとされています。


このようにHRTはあらゆる技術を文字通りの最高水準でいつでも提供できるよう、今この瞬間も備えているのです。



《FBI HRT Fact》
HRTはSWATと比べると圧倒的クローズな存在で、事件への出動はおろか訓練の様子さえメディアにはめったに出てきません。


出動までの流れを、FBI SWATも交えて非常にざっくりと説明すると

地元警察→地元SWAT→地方局FBI SWAT→HRT

といった感じです。実際のところ大事件にしても地元警察で対処できないレベルは滅多になく、ましてやFBI SWATでも対処しきれないとなると相当の事態です。


近年の出動は2015年のNY脱獄事件に加え、その前年のボストンマラソン爆弾テロ事件が有名ですが、いずれも「人を殺した人間が住宅街に逃げて行方がわからなくなる」という事案で、広範囲をしらみ潰しに捜索する必要があるだけでなく、いつ人質をとられてもおかしくない状況です。

確かにこのような状況では、出せるだけの人員が全て必要ですし、更なる死者を増やし兼ねず、容疑者を見つけるまで事態は終息しません。

要するに、これだけの危険な状況になるまで通常の事件出動はしない部隊なのです。


装備については、昔はHRTもSWATと同じくRGの装備等を使用していた時期ありましたが、伝統的には迷彩服を着ることがほとんどで、2013年までには改めてマルチカムの装備に完全に更新されており、そのマルチカム装備のほうが今は有名かと思います。



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(2010年頃まではこのような装備だった)



現在のHRTの装備はデルタの影響を強く受けており、かなり陸軍特殊部隊的な装備となっています。



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装備調達もSWATとは完全に別であり、SWATの装備は『支給』制であるのに対して、HRTには専属の補給係がいるため『欲しい』と思ったものは大抵は調達でき、要望に沿ってオリジナルのナイロンギアを作ってもらうことも可能です。

このほか自分たち専用のブラックホークや大量の様々な銃を購入したりしています。
(ちなみにブラックホークは現在3機所有しており、満足に個人装備も整えられない法執行機関も多いなか、ヘリコプターまで所有しているような部隊はBORTAC等の本当にごく僅かな部隊のみです)



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(訓練中に様々な火器を試験できる班もある)



もちろん現代の特殊部隊同士ですし、SWATと使用例が被る装備もありますが、基本的にそれらは『偶然の一致』にすぎないということです。

ライフルのバレル長も違えば、M4カスタムもTROYならAlpha (SWAT)とTRX (HRT)、ヘルメットならSentry (SWAT)とAirframe (HRT)、「SWATが〇〇だからHRTも〇〇じゃないの?」といった考えも根本的に間違っています。


ちなみに海外フォーラム等でやたらHRTと関連づけられているガイズリーMk4 FEDハンドガードは、そのように話題になりだした時点では使用例はまだ皆無で、SWATでしか使われていませんでした。実際に本格的な使用例が出たのは2020年からです。

そのためMk4 FEDを使って “HRT Custom” として投稿されている個人のカスタム例は、実際ほとんどがSWATのカスタムです。



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(Geissele Mk4 Federal)



いずれにしても、今はようやく使用例が出てきたわけなので、きちんとカスタムすればエアガンで現行のHRTライフルを組むこと自体はできると思います。

このほか2017年以降、SWATもマルチカム装備が主流になってきているので、「HRTだ!」と話題になる画像のSWATでしたパターンも増えています。
技術は別として、装備は素人目での区別が難しいくらいに、SWATがHRTの装備に追いついてきているとも言えます。




このようにFBIには2つの特殊部隊があり、それぞれに違いや魅力があります。FBIの特殊部隊に興味がある方は今後の記事にもご期待下さい!

ご覧頂きありがとうございました。

【解説】FBIの特殊部隊 Part.1

※ 内容は公的情報や画像資料等を参考にしていますが、全てが正しいとは限りません。参考程度にご覧頂ければ幸いです。



『FBI』という組織名についてはTV番組や映画等で耳にしたことはあるかと思います。
Federal Bureau of Investigationの略で、日本語では連邦捜査局という、アメリカの法執行機関のことです。



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FBIと言えば『Agent (捜査官)』や『Gman (Gメン)』とも呼ばれる『Special Agent (特別捜査官)』が特に有名でしょう。
ドラマで描かれるようなスーツやレイドジャケットを着て、現場での調査や潜入捜査をしているイメージが強いかと思います。



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しかし、そんなFBIにも特別捜査官の一種として特殊部隊が存在し、『SWAT』と『HRT』という役割や練度、指揮系統の全く異なる2つの部隊があります。

これらは同じ『FBIの特殊部隊』ではありますが、あくまでも『全く別の部隊』であり、お互いに関わり合う機会はほとんどありません。

今回はSWATとHRTそれぞれの特徴や違いを2パートに分けて解説したいと思います。



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(FBI SWAT)

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(FBI HRT)



このパート1ではSWATを紹介し、HRTはパート2にて解説をします。



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【FBI SWAT (Special Weapon and Tactics)】

FBI SWAT (以下SWAT)は、1973年に創設されたFBIにおける初動対応部隊で、FBIの特殊部隊としては最も多く出動している部隊です。



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(所属支局によりデザインが異なる支局章が特徴的)



米国内の56のField Office (地方局)に部隊が割り当てられており、各地方局の部隊に最大42名の隊員が所属しています。一部地方局では更に担当地域ごとに部隊が分かれることもありますが、いずれにしても各地方局の管轄する地域の危機に迅速な対応ができるようになっています。

56支局それぞれに配備されていることもあり、LE系特殊部隊としては世界最多の所属人数で、米国全土で1000名以上が所属しています。


また、特に大都市や犯罪多発地域を中心に14のチームが強化部隊 (Enhanced SWAT)として指定されています。この強化部隊は、他支局SWAT同様の任務を行いますが、通常の部隊よりも扱える機材や技術が多く、海上任務や海外展開もできるとされています。

平時の任務はもちろん、装備についても通常の部隊との差はなく基本的には同じですが、入隊試験は他支局のSWATよりも厳しいものとなっています。



SWATの主な任務としては

・人質救助
・車両停止
・航空機、列車、バスの強襲
大量破壊兵器(WMD)関連作戦
・逃亡者の追跡
・要塞(拠点や家屋)の強襲
・人員保護
・ハイジャック対応
・狙撃作戦

などが上げられており、加えて実際には更に

・対ギャング作戦
・対テロ作戦
・イベント警備
・地域とのコミュニケーション
・交流イベント運営
・各種ボランティア(災害救援など)

といった任務にもあたっています。
2015〜2019年の間に、FBI SWAT全体で、合計5175回の任務を遂行しています。



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仕事としては常勤でなくパートタイム制で、隊員らは月に2~4日、32時間以上は訓練等を行い、事件や任務のない時は特別捜査官(俗に言うGman)として仕事にあたります。
(STL等の一部役職ではフルタイムとなる場合もある)



募集は志願制で、Tactical Recruiting Program(TRP)を通じて他の法執行機関や軍隊からも候補者が集まります。

前述の通りSWATはパートタイム制なので、候補者は選抜試験を受ける以前に、はじめの2年間は平時の仕事でもある特別捜査官としての試用期間があります。

TRPにより軍や法執行機関での経歴が認めらて入隊をする場合を除き、捜査官からのキャリアアップとなると、そもそもFBIの捜査官になるためには、いくつかの指定の難関大学の学歴や体力も必要となります。
なので、FBI SWATはインテリと歴戦の猛者揃いの特殊部隊とも言えるでしょう。


試用期間を経たあとは選抜試験があり、

・射撃
・問題解決
・体力
・意思決定
・逮捕テクニック
・命令を守り命令に従う能力

などの要素で高い基準を満たす必要があり、更に疲労、ストレス、強迫などの極端な状況下であっても最大レベルでそれらを実行することが求められます。



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これらの要件をパスした者がSWAT隊員の資格を得ることができますが、承認を得た後も続けてSWATおよび対WMD(大量破壊兵器)の基本訓練プログラムも完了する必要があります。
FBI HRTを除き、一般的なLE系の特殊部隊としては入隊が最も難しい特殊部隊と言えるでしょう。

こうしてSWATとして経験を積み、特に技術や軍歴のある隊員は、その後インストラクターやチームリーダーの資格へと進む場合もあります。



SWATの主な役職/特殊技能には以下があります。


・Assaulter (攻撃班≒基本職)
・Breacher (突破班/特殊技能)
Sniper (狙撃班/特殊技能)
・Fast Rope Specialist (ラペリング等のプロ/特殊技能)



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AssaulterはFBI SWATにおける最も基本的な役職で、事件現場に出動する隊員のほとんどがこれにあたります。そのAssaulterで構成された部隊編成はAssault Teamと呼ばれることもあります。

それ以外のBreacherやSniperはそこから派生した特殊技能(専門資格)という扱いになります。


Breacherはショットガンや丸ノコ等のガジェットを用いて、施錠されたドアなどを突破する専門知識を持った隊員に与えられる資格です。基本的にAssaulterとして行動し、その技術が求められる場面で活躍します。



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Sniperは文字通り狙撃技術を極めた隊員に与えられる資格です。Sniper資格を得るには海兵隊のスナイパー養成所で厳しい訓練課程をパスする必要があります。
狙撃/監視という任務上、見晴らしのいい建物や場所でAssaulterとは別々で行動します。



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(LEのスナイパーとしては珍しくギリーをよく使う)



これらの隊員に加えて、すべての隊員をまとめるSTL(Senior Team Leader)、その中の分隊クラスの人数をまとめるTeam Leader(TL)、その補助を行うAssistant Team Leader(ATL)らでFBI SWATは構成されています。
(チーム内で基本的にSTLは一人、TL及びATLは複数人いる場合がほとんどです)



このほかSWATではありませんが、現場でSWATや捜査官のサポートを行う専門技能特化のグループもあります。


・FBI Medic (医療班)
・Special Agent Bomb Technician (爆弾処理班)
・FBI K9 (警察犬ハンドラー)
・Tactical Air Operation Officer (ヘリパイロット)


これら専門職の隊員はSWAT同様の装備を着用し、SWATに同行することがありますが、あくまでSWATではなく独立した専門技術グループ(別部隊)で、訓練等も独自に行っています。
また、戦闘部隊ではないので銃を持って現場に出ることは少ないです。



FBI MedicはTacMedと呼ばれることもあり、事件現場での戦術医療に特化したグループで、その役割上SWATと一緒に出動することが多いです。



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SWATの隊員らも応急処置的な戦術医療訓練は行いますが、Medicらは医療器具満載のTSSI M9バックパック等を背負い、より高度な医療で負傷した民間人やSWATを救護することができます。

隊員の多くが長い救急医療の経験を持ち、事件現場等の特殊な状況下で専門的な救急医療を行うことができます。しかし、あくまで戦闘部隊ではないため、装備については部隊(分局)にもよりますが、必ずしもSWAT同様の最新装備という訳ではありません。
SWATのお下がりなのか、それともひと目でMedicと分からせるためなのか、理由は定かではありませんが、マルチカムのSWAT集団にRGで紛れていることも多いです。



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また、基本はSWATとMedicは別グループなのですが、地方局によっては『FBI SWATのMedic』と、SWATの役職の一部に組み込まれている場合もあり、「同じFBI SWATでも地方局が違えば組織形態は異なる」ことの例の一つでもあります。



SABTはEODとも呼ばれる爆弾処理班のグループです。ボムスーツを使うこともありますが、そのレベルの爆弾事件は滅多にないため、多くの場合はMedic同様にSWATに似た装備で現場にいます。



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爆弾が隠されている疑いのある場合には、ドローンを使って調査することもあります。

また、SABTもMedic同様にSWATに同伴したり、SWATの一部に組み込まれている場合があります。



K9は相棒の警察犬と共に隠れた容疑者の捜索/確保や爆発物の探知などを行います。



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これらK9等の専門技能グループは必ずしも各支局に配備されている訳ではなく、むしろ保有していない地方局のほうが多いです。




《FBI SWAT Fact》
FBIは9.11テロ以降『テロとの戦い』に大きく力を注ぐようになりました。

そのため近年のFBI SWATの主な任務は大規模なイベントの警備 (テロ対策)が中心となり、出動する事件も「テロの疑いがある事件」及び「テロに関連した事件」が多くなりました。



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近年では米国内のIS関係者捕縛作戦を行うなど、地元警察のSWATと比べて「対テロ特殊部隊」の側面が強くなってきています。


このほか組織犯罪 (対犯罪組織)や被害が拡大しそうな危険事案などに出動していますが、地元警察のSWATのように事件が起きてから駆けつけるよりも、捜査により予め特定された拠点や家屋への強襲に出動することの方が多いのも特徴の一つです。



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近年の大事件としては2016年のUCLAや2017年のラスベガスで起きた銃撃事件などにも応援として出動していますが、いずれも現場に到着する頃には事態はひとまず落ち着いていました。
このような突発的な銃撃事件の応援のような場合には、捜査官の現場検証のサポートや警戒の任務にあたり、直接的に容疑者の逮捕や制圧のために来るのではないことがわかります。



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しかしながら実際のところ全56支局に分散している訳ですから、犯罪多発地域や大都市を担当する部隊でもない限り、あまり出動の機会のない地方局 (部隊)も多く、何かしらの事件に出動している部隊は一定の偏りが見えます。

例えば大都市ロサンゼルス支局の部隊の事件出動数は比較的に多いですが、意外にもニューヨーク支局は大都市にも関わらず地元警察NYPDの力も強いためか事件出動が少なかったりします。


では事件出動することが少ない部隊は、事件や任務がない平時にSWATとして何をしているかと言えば、もちろん第一には訓練、そして第二には特別捜査官としての通常業務ですが、最も我々の目に見える形で出てくるのは地域との交流イベントや大規模イベントの警備です。



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交流イベントは地方局の地元市民や、小学生~大学生など幅広い層を対象に開催しています。各支局で年に1回以上は開催される「市民アカデミー」では、成人を対象に銃の射撃体験や訓練展示を行い、学生向けの「ティーンアカデミー」では簡単な職業体験を実施し、FBIでの仕事に興味を持って貰うための活動をしています。
このほか病気の子供のための慈善事業や災害支援にも積極的に取り組んでおり、手広くボランティア活動を行っています。

大規模イベント警備は、主にスポーツの大きな試合や空軍の基地祭等の警備に参加しています。



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こうした地元密着型の活動にも力を入れているのが他の法執行機関にない特徴とも言えます。


FBI自体が一般的な事件には出動せず、管轄の広さの割には職員数も決して多くはないため、これらのイベント等がない限り、大抵の米国民にとってFBIはサスペンスドラマの中の存在に近いです。

そのためFBI SWATとHRTの違いは、アメリカ人ですらほとんど知らず、そもそも両部隊の存在すら知らない人も多いです。なので、このような活動もFBIにとっては認知を広めるうえで非常に重視されています。

日本のSATもドラマで出てきたりはしても、見たことある人はほとんどいないですし、ミリオタでない人は名前すら聞いたことない人もいると思います。ましてやSATとSITの違いがわかる人は更に少ないと思いますが、米国でのFBI SWATの認知度はまさにそれくらいなのです。



特殊部隊としての実際の練度は「入隊には高度な技術が求められ、入隊後もその技術の維持が求められる」というようなことを前述しましたが、後述のHRTや軍の特殊部隊のようなレベルではなく、あくまで警察特殊部隊という位置付けです。

突入時のイメージで言えば、SEALsのように俊敏な動きで突入して敵を瞬時に制圧!というよりは、フラッシュバンやシールド等のガジェットを用いて慎重かつ適確に「FBIだ!動くな!」等の警告を発しつつ突入、必要であれば敵の排除を行うという感じです。


何よりも後述のHRTがいるため、特殊部隊とはいえ陸軍で言うなれば一般部隊あるいはレンジャーであり、デルタの役割ではないといったところです。実際SWATの共同トレーニング相手の多くは地元SWATや州兵や一般部隊が多いです。



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また、SWATのための専用訓練施設が少なく、基本的には民間の訓練施設や軍の演習施設を借りるしかないため、充実した施設での訓練も頻繁にはできないようです。
そのぶん任務は多岐にわたり、出動回数も多く、訓練時間そのものは多いため、市警SWAT以上に高度な技術を持った特殊部隊であることは間違いありません。

近年はFBI専属火器インストラクター中心の指導だけでなく、外部トレーニング施設の正式利用も増え、練度も高くなってきており、地元警察へ指導を行うことも増えてきています。


強化部隊のEnhanced SWATについては、通常のSWATと目に見える違いはなく、主に任務などの面で通常部隊よりも様々なスキルを持つとされていますが、正直なところ「これはEnhanced SWATだ」と断定できる明確な要素や情報がないため、実情がどうなのかはよくわかっていません。



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(HRTと見間違えそうな雰囲気のワシントンの部隊)



しかしながら確かにワシントンやラスベガス、タンパ等の大都市の部隊を見てみると、装備の更新が他の部隊よりも早く、訓練内容の質も高いです。
こうした点から、あえてEnhanced SWATと思われる部隊を挙げるなら、これらの地域の部隊がそうなのではないかと考えられます。



装備については『SWAT』と言うと全身黒色の風貌を思い浮かべてしまいますし、某人気FPSゲームではそのように描かれたFBI SWATが登場しますが、現実ではレンジャーグリーン(RG)という緑系の単色迷彩の装備を使用している姿のほうが有名です。



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もちろん黒装備の時代がなかった訳ではありませんが、遅くとも2008年頃には緑系単色迷彩のODの戦闘服を使用しており、そのイメージは2000年以前のものと考えた方がいいです。

9.11に次ぐ衝撃を与えたボストンマラソン爆弾テロ事件以降は、装備の更新が加速し、2014年の1年間以外は現在に至るまで休まず装備が更新されています。
2016年以降はマルチカムへの更新も始まり、現在ではそちらのほうが主流です。



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近年LE特殊はRGやODの緑色系装備にシフトしているため、似たような装備の部隊も多々ありますが、FBI SWATの場合は必ず『FBI』のパッチが貼ってあるので見分けがつきます。


装備については連邦機関ということでヘルメットやプレキャリ、銃器等の大抵の装備がFBI全体で『一括採用 (契約)』されており、ほとんどの隊員が「装備は支給されたものを使っているだけ」という様子です。

(調達については、もちろん各支局ごとで異なりますがベースについては大規模契約をします。そのためSWATで使われている装備はGman等でも共通して使用されています)



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プレートキャリア等はサイズも一定のものでまとめて納入されているので、体格に合っていないものを使っている様子もしばしば見られます。

装備は基本的に採用品のみしか使えず、規定外のものを使用するには許可等が必要な場合もあるため、大半の隊員が使用例のセオリー通りの装備を使用しており、例外なアイテムに対する自由度は決して高くありませんが、そこがいかにもお役所的でFBIの威厳ある風格を際立たせているとも言えるでしょう。




ざっくりとした解説ではありますが、日々危険を顧みず人々の安全と治安維持に尽力するFBI SWATの職に就く隊員たちのことを少しでも知っていただけたら幸いです。

当ブログでは特にFBI SWATの装備に関する解説等に注力していますので、ぜひ他の記事もご覧下さい!

LE装備(Law Enforcemet)とは?

※ 本記事ではLE装備とはどういうものなのか、きちんと知りたい方向けに解説したものです

※ 内容はアメリカを中心にした話となります



LE(Law Enforcemet)とは、法執行機関という意味で、「治安維持を目的とした機関・組織 / 警察権を持つ軍隊以外の機関・組織」の全てを基本的に指します。
(例外的に軍でも憲兵等の一部機関は法執行を業務とするためLEに分類されます)

簡単に言ってしまえば警察(POLICE)などの「 “法に基づいて” 仕事をする組織」のことですね。

そして、これらの “実在する組織” に従事する警察官や捜査官らの装備を『LE装備』と言います。



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LE装備という言葉自体はこれらの装備の『総称やカテゴリー』を示す言葉です。

軍装で言えば「ミリタリー装備」といったところで、実際は米軍装備や自衛隊装備、米海軍SEALs装備など、国や地域、部隊の数だけ細分化されていきます。



正確には『国名』のLEの『組織名』装備です!
(例:アメリカのLAPD装備、ドイツのSEK装備など)




LEは「長期間に及ぶ捜査」はあっても、軍のように一回の出動で「長時間の任務」となることは少なく、武装犯の人質事件や、銃撃事件でも大抵の場合は数時間で収束します。

また、たとえ特殊部隊であったとしても、あくまで警察なので犯人逮捕が重要であり、銃撃戦は「最悪の事態」であるため、武装は必要最低限でマガジン携行数も少なく、軍の部隊よりか軽装なのが特徴的です。

補足:近年は相次ぐテロの影響から各国で警察の軍隊化(Militarization of Police)が進んでおり、軍のように迷彩服に身を包み重武装する機関も増えている。



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(組織や部隊によるが軍よりも軽装な傾向はある)


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(素人目には軍隊と相違ない装備の部隊も多い)



特に私服を用いた連邦系LEの装備は、いつかのPMC装備のように流行ってきているサバゲー装備スタイルのひとつです。
(一般的に地方警察は制服がほとんどのため、私服系は連邦系LEのイメージが強いです)

実際プレートキャリアとパッチパネルさえあれば私服捜査官 “風” 装備や、緊急出動したオフィサー “風” 装備は雰囲気だけなら比較的に手軽ですし、そこからBDU等で拡張して行けば特殊部隊の装備にも派生させることができます。

軍装の場合、プレキャリを着ただけではとても◯◯装備と言い切れないことが多いため、本格的に装備を集めるにしても敷居が低そうにみえるのがLE装備流行の理由かと思います。



しかし、LE装備と言うからにはLE装備たる『最低限押さえておくべき重要なポイント』があります!!


警察なら「POLICE」、連邦捜査官なら「FBI」など必ず所属する組織を大きなパッチやバッジ、衣服等を用いてアピールするのがLE最大の特徴で、これは戦場と違い多くの人々が入り乱れる現場で民間人や各機関との区別を図るためのLEならではのものです。



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上の画像では、同じような格好でも、それぞれ違う機関のオフィサーたちであることがひと目でわかります。

なので、こうした「所属を表す」という要素はLE装備において、LEであることを証明する “必須要素” と言っても過言ではありません。



とはいえ「それなら所属機関のパッチさえ貼ってあればLE装備ってワケね」と思っている人も多いですが、それも間違いです。

改めて言いますが、LE とは『法に基づいて』法執行する機関であり、また『警察権を持つ』組織を指す言葉です。『所属機関のパッチを貼っている人装備』ではありません。



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(FBIと救急救命士EMTの合同戦術医療訓練)



例えばEMT(救急)や消防等においても、現場で治療や救護にあたる “戦術医療行為” を行うため、銃こそ持たないものの、プレキャリやヘルメットを着用し、「EMT」や「MEDIC」等のパッチを前後に貼っていることがあります。

しかし、上の画像でのEMT隊員はあくまでパトカーでなく救急車に乗ってやってくる救急救命士であり、それがどんなに特殊部隊のような装いで、前後に所属を示すパッチがあっても、あくまで彼らは「警察権を持っていない」ので「LE(装備)ではない」のです。

当然これらの職は銃を持たないので、サバゲー用装備として再現するには向きませんが……



とはいえ「なるほど、だったらとにかくPOLICEパッチさえ貼っておけばLE装備だね!」……というものでもないのがLE装備の奥深さ。

サバゲー装備として雰囲気を楽しみたいだけなら大枠的な意味ではLE装備ではあるので、それで構わないと思いますが、もしより本格的に集めてみたい、最終目標が装備系イベントにも参加してみたいということならば、もう少し所属機関を明確にしていく必要があります。


そこで、さらに重要となるのが「所属の部隊や地域」をより具体的に表すパッチやエンブレムです。

先ほどのパッチパネルよりも具体的に所属を示すものとなるので、装備の説得力を出すには欠かせません



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全国共通で各地に存在する地方のPOLICEやSHERIFFなどの場合は「どこの地域の地元警察であるか」、FBI等の他に同名の機関がないような組織でも、大きな組織が故に各地に分局がある場合は「どこの分局に所属する職員か」を示す地域章などを必ず用いています。
(日本でも警視庁、千葉県警、愛知県警、大阪府警など同じ警察でも所属や管轄は様々ですよね)

通常こうしたパッチやエンブレムは肩にあることが多く、前後だけでなく左右からもしっかり所属をアピールします。



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(肩のエンブレムが地域章)

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(ボストン市警地域章)



例えばFBIのSWATチームの場合、
・FBIであることを示す前後のパッチパネル
・特殊部隊であることを示すSWAT部隊章
・どこの分局のSWATかを示す支局章
・個人ごとの識別番号(コールサイン)
などのたくさんのパッチを一度に使用しています。



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しかし、おかげで「FBIの特殊部隊で、Tampa支局に所属しており、B-10番の隊員である」という具体的な情報が一目でわかるわけです。


これほど多くのパッチを使用する理由というのが、「自分がいったい誰か」をいちいち身分証を提示せずとも民間人や別組織の職員、仲間らにアピールできるからです。

特に特殊部隊はテロも想定しているため、人々が逃げ惑うような混乱の事件現場で、敵か味方かを瞬時に識別できるかは重要な要素となります。そこで、パッチを用いて瞬間的な識別を可能としているのです。



このように「所属を表すアイテム」は単に組織を示す物だけでなく、より具体的な情報を与える物でもあり、自分が何処のLEかを具体的にすればするほど、よりLE装備の完成度も高くなります。

要するに「前後で組織を、左右で所属を示す」のが非常に大事なのです! (手錠などの小物は二の次)


ほかにも軍ではタレスのPRC系無線機が一般的ですが、LEではモトローラの無線機が主流だったりと、細かな装備もやはり軍隊とは異なる特徴が多数あります。




また、LEを示すシンボルとして『シン ブルーライン』というものがあり、このデザインのパッチや旗が法執行機関の職員やその支援者たちに人気があります。



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「殉職した法執行機関職員への追悼と敬意」を意味するシンボルとして英国からはじまり、今や様々な国で同様のデザインが使用されています。

特に米国では各ストライプに更に意味を与えており、青い中心線は法執行機関、黒い縞の上半分は一般人、下半分は犯罪者を表しています。
犯罪者による暴力と犠牲と犯罪による潜在的犠牲者の間には、法執行機関(青線)がいて、法執行機関における敵は犯罪者であるが、それは国民でもあり、法執行機関にとっての敵は全ての国民とも言えるという皮肉の意味があります。


特定の装備では、このデザインのパッチの使用例があったりしますが、これ自体は所属を表明するアイテムではなく、あくまで「追悼と敬意」を「法執行官への支援」などを表明するアイテムです。そのため法執行機関だけでなく民間の方から軍人の方まで、あらゆる “支援者” が使用しています。

なのでシンブルーラインフラッグのパッチを貼っただけの装備に関しては、使用例ありきの装備でもない限り、それはまたLE装備とは違うのです。
(実際アメリカでも民間のトレーナーやシューターで、“前職が” 警官だったが故にシンブルーラインパッチを貼っていたりすることもあります)

あくまでLE装備としては「所属機関パッチと組み合わせて使う小物」という立ち位置です。


ほかにも消防の方々を支援する意味の『シンレッドライン』、国境警備隊の『シングリーンライン』等も存在しますが、これらはまたは別物のシンボルなので間違えないように注意しましょう。



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やはりパッチやバッジ等で『所属を明確にする』ことのほうがLE装備としては重要と言えるでしょう。

それらができたうえで、使用されている手錠やラジオ、ホルスター等のギアや小物、その配置を入念な考察の基に取り入れられれば、それはもう誰から見ても『LEの◯◯装備』に見えるでしょう!



ちなみに「LE装備は結構自由」などと言われていることがありますが、実際のところ自由ではなくミリタリー同様に一定のギアで統一されています。税金で好きな装備を買えるわけではありません。
(もちろん多少は個別でギアを使用していたり、そういう物のための予算はありますが、多くの場合は許可なしで自由な装備やパーツを使うことはできません)

アメリカの場合は日本と違い、警察権を持つ組織がPOLICEだけに留まらず非常に多いです。そして、各機関が独自の装備採用をしているため「装備の種類(スタイル)」が多いと言うのが正解です。




また、LEと一言で言えど、POLICEだけでなくミリタリーで言うところの陸/海/空/海兵隊のように様々な組織があるわけです。


法執行機関と言われて大概の人が思いつくのは制服警官や私服警官、SWATだと思いますが、LEという括りではその他に「保安官」や「税関」や「国境警備隊」などの様々な組織が含まれます。



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(ロサンゼルス郡保安局)



先ほどの通り、連邦制であるアメリカでは、様々な機関に警察権が与えられており、それらの機関にまつわる法律に基づいて法執行できる専属執行機関が存在することがあるのです。

また、それらの組織にもオフィサーから特殊部隊まで様々な職員がいます。



何が言いたいかと言うと、皆さんが想像する以上に『奥が深い!』のです。


例えばDEA(麻薬取締局)の特殊部隊、FAST Teamなんかは国外での活動が主であり、アフガニスタンに麻薬農園を潰しに行ったりするので驚きです。
(FASTはもはやLEとは言い難いですが……)

また、LEの特殊部隊と言えば『SWAT』の言葉のイメージは根強いと思いますが、SWAT以外にも「SRT」や「ESU」などと呼ばれる部隊もあり、役目はSWAT同様でも機関により部隊名は様々です。



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(DEA FAST Team)

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(ATF SRT)



このように『LE=単なる警察系組織』だと思っていると、とんでもない組織や部隊がいて、また装備も警察系組織とは思えないものを使っていたりするのが面白くて奥が深いところですね。




アメリカおいては、連邦制なので州や郡ごとに組織体系等に違いがあり、色々とややこしいのが難点です。

アメリカのLEはざっくり言うと
市警察/州警察/郡保安官などの “Local系” (地方機関)
連邦捜査局/麻薬取締局などの “Federal系” (国家機関)
の二つに大別できます。


特に以下の組織は連邦四大LEと言えます。

「FBI (連邦捜査局)」
「U.S.MARSHAL (連邦保安官)」
「DEA (麻薬取締局)」
「ATF (アルコール、タバコ、火器及び爆発物取締局)」



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これらからわかるように、「LE装備」の中には様々な「◯◯装備」があり、LE装備という言葉自体は所詮ジャンルの一つに過ぎないのです。



「LE装備をやってみたいけど何を買えばいいかわからない」という方は、まず初めに何を買ったり集めたりするかではなく、『どんな機関が存在するのか』を調べて『どの組織の装備を集めるか』を決めることが先決でしょう。

LEでもミリタリー同様の装備を使うこともあるため、何を買ったらLE装備になるのかというのは、その機関によって異なるとしか言えないです。



私とて最初はPTTが何かすら知らないレベルの全くの無知でした。しかし、方向性を固めて拘りを持って集めはじめたことで、人並み以上に知識もつき、装備仲間も増え、ドレスコードありの本格的なLE装備イベントにも参加できるほどになりました!



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(2017:LE Wars 2)

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(2019:LE Wars Final)

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(2020:LE Confidential)

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(2020:LE Confidential 2.0)



何より方向性を定めないと装備をどれだけ買っても納得できず、無駄な買い物を際限なくしてしまいがちです(筆者経験談)

参考資料を集めるついでに自分の好みに合う色々な法執行機関を探してみて下さいね!




当ブログでは主に『FBI』』の装備を詳しく解説しています。



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どのLE装備をはじめるか迷っているのであれば、FBIの装備に関しては、このブログが役に立つかと思いますので、他の記事もぜひご覧ください!